「自力でなんとか克服したい」と願う当事者は少なくありません。しかし、意志の力だけで強迫的な思考を止めるのは、高熱を気合で下げるのと同じくらい困難です。標準的な医療アプローチを頼ることが、回復への最も安全で確実な近道となります。
効果が実証されている主軸の1つが認知行動療法(CBT)です。欠点を探す癖がついた思考パターンを丁寧に解きほぐす「認知再構成法」や、鏡を見る回数を段階的に減らす、あえて隠蔽パーツを出して外出してみるといった「曝露反応妨害法」を通じて、容姿に対する過剰な警報アラームを弱めていきます。
同時に、脳内のセロトニンバランスを整えるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を中心とした薬物療法を併用することで、頭の中を埋め尽くしていた強迫観念の音量をグッと下げることが可能になります。「気にはなるけれど、日常生活は送れる」という現実的な着地点を、医療チームとともに目指していくのが治療の基本姿勢です。