呉市内には海上自衛隊の艦艇や部隊の味を提供する飲食店が多数存在しますが、その中でも呉ハイカラ食堂が不動の支持を集めている背景には、徹底した「味の再現性」と「演出力」があります。
呉海自カレー事業では、各艦艇の給養員長(調理担当)から直接レシピを教わり、司令や艦長による厳格な試食審査をクリアした店舗のみに公式認定証が授与されます。呉ハイカラ食堂が担当するのは、海上自衛隊が誇る最新鋭ディーゼル潜水艦「そうりゅう」のカレーです。
潜水艦の乗組員は長期間にわたり外の光を浴びずに過酷な任務に従事するため、食事、とりわけ毎週金曜日に振る舞われるカレーは士気を維持するための生命線とされています。そうりゅうカレーの特徴は、じっくり煮込まれた牛すじの深い旨味と、フルーティーな甘みの後に追いかけてくる重厚なスパイスの刺激です。この絶妙な重層感が、一般的な欧風カレーや大衆食堂の味とは一線を画す奥深さを生み出しています。
さらに、店内は昭和初期の呉の街並みや軍艦の内部を想起させるノスタルジックな装飾で統一されており、当時の海軍精神や港町の情緒に浸りながら食事ができる体験型エンターテインメントとしての完成度が極めて高い点も、リピーターが絶えない大きな要因です。