解剖学的な分類において、カメ目(Testudines)に属するすべての種は四肢動物に区分される。結論から言えば、発生学的な根拠に基づけば四肢、すなわち「4本」の足を持つ。しかし、海洋環境に特化したウミガメ科(Cheloniidae)の種を観察したとき、その前肢は陸生のゾウガメとはまったく異なる「大きな扇状のヒレ」へと形態を変えている。この差異は単なる外見の違いにとどまらない。
近年の骨格解剖学による最新解析では、陸ガメの前肢が体重を支えるための太く垂直な円柱状骨格持つのに対し、ウミガメの前肢は指骨が極端に伸長し、靭帯と強力な結合組織で束ねられていることが判明している。つまり、ウミガメのヒレは見た目こそ巨大な1枚のパドルのようだが、X線で見れば明確に5本の指骨が並んでいる。外見上のヒレという単一の駆動装置の中に、四肢動物としての指の骨格が隠されているのだ。この構造の違いこそが、陸上での歩行能力を犠牲にしてでも圧倒的な遊泳速度を手に入れた進化の選択であった。