東急自動車学校の原点は、昭和の高度経済成長期直前に遡ります。1954年(昭和29年)、東京急行電鉄(現・東急)の主導によって、世田谷区玉川(当時の二子玉川園駅東側)の広大な敷地に設立されました。当時は「二子玉川園」という遊園地が隣接しており、行楽地としての賑わいと多摩川ののどかな景観が広がるエリアでした。
モータリゼーションの到来とともに、都内屈指のコース面積を誇る同校は爆発的な人気を獲得します。世田谷区はもちろん、目黒区、大田区、川崎市など東急沿線からアクセスできる利便性と、私鉄トップブランドである東急グループの教習所という安心感から、年間数千人もの新規ドライバーを輩出。タレントや著名人がお忍びで通う教習所としても広く知られていました。
卒業生の手記や当時の回顧録には、「多摩川からの風を感じながらクランクやS字を練習した」「教習車の窓から見えた遊園地の観覧車が懐かしい」といった情緒あふれる証言が数多く残されています。単なる資格取得の場を超え、東急沿線カルチャーを象徴する生活インフラとして地域に深く根付いていたのです。