店頭におけるコンビニペットボトル容量推移を振り返ると、かつて清涼飲料の標準であった500mlは、緑茶や麦茶、ブレンド茶カテゴリーを中心に600ml〜650ml規格へと急速に置き換わりました。この現象の背景には、大きく分けて2つの構造的要因が存在します。
第1の要因は、日本の夏の長期化・猛暑化に伴う「止渇ニーズ(喉の渇きを癒やす需要)」の変化です。メーカー各社の開発担当者への取材によると、「通勤時やデスクワーク中に1本で1日中持たせたい」「ちびだら飲み(時間をかけて少しずつ飲むスタイル)」が定着したことで、500mlでは夕方までに足りなくなるという消費者の不満が顕在化しました。特に熱中症対策が叫ばれる麦茶市場では、600mlから680mlへの増量が売り上げを大きく伸ばす契機となりました。
第2の要因は、ペットボトル飲料値上げの経緯と密接にリンクしたメーカーの価格・マーケティング戦略です。原材料であるPET樹脂、茶葉・果汁、物流費、人件費の高騰が相次ぐ中、単に500mlのまま店頭価格を引き上げると消費者の買い控えを招きます。そこで各社は「容量を50ml〜100ml増やしてリニューアル」し、新容量として希望小売価格を改定することで、消費者に「実質的なお得感」を感じさせつつ採算ラインを維持する手法を選択しました。これが、500mlから600ml変更の真相です。