本来、体内に侵入した細菌やウイルスを排除するはずの免疫システムが、何らかの異常によって自分自身の血管壁を異物と誤認して攻撃してしまう――これが血管炎発症原因と理由の根底にあるメカニズムです。
血管炎の発症は単一の原因ではなく、「遺伝的素因」「環境因子」「免疫の暴走」が複雑に絡み合って引き起こされます。近年の免疫学研究では、好中球が放出する「NETs(好中球細胞外トラップ)」の過剰産生や、血管内皮細胞を標的とする自己抗体(ANCA:抗好中球細胞質抗体)の関与が克明に解明されてきました。感染症(B型・C型肝炎ウイルス、溶連菌など)への罹患や特定の薬剤、過度な身体的・精神的ストレスが引き金となり、休眠状態にあった自己反応性リンパ球が目覚めてしまうと考えられています。
血管のどの太さに炎症が生じるかによって病態は大きく異なり、国際的なチャペルヒル・コンセンサス会議(CHCC)分類に基づき、大血管・中血管・小血管の3段階に整理されています。