数ある名店の中で、焼肉春香苑の人気が衰えない最大の理由は、肉本来の旨味を極限まで引き出す「仕込みの精度」にあります。流通の機械化が進んだ現在でも、肉の繊維方向やサシの入り具合は個体ごとに千差万別です。同店では熟練の職人が肉質を手先で確かめながら包丁を入れるため、火を通した瞬間に脂が心地よくほどけ、驚くほど軽やかな口当たりを実現しています。
看板として双璧を成すのが、焼肉春香苑のカルビとロースです。カルビは濃厚な脂の甘みがありながらも後味がくどくなく、ロースは赤身の力強い旨味としっとりした柔らかさが両立しています。肉のポテンシャルを何倍にも引き上げるのが、ニンニクや香味野菜、果実のコクを絶妙な比率で寝かせた「秘伝のもみダレ」と「つけダレ」の存在です。タレを纏った肉がロースターの上で香ばしい煙を立ち上らせる光景は、訪れる者の食欲を否応なしに刺激します。
さらに、焼肉春香苑のメニュー構成は非常にバランスが取れており、自家製キムチやナムル、じっくり牛骨を煮出したスープ類、〆に外せない冷麺まで、サイドメニューの一品一品に至るまで手抜かりがありません。単に「良い肉を焼いて食べる」にとどまらず、卓上全体で完成された一つのフルコースとして体験できる点が、老若男女を惹きつける原動力となっています。