全国屈指のラーメン消費県として知られる青森において、煮干しラーメンの潮流を牽引し続けているのが、青森市新城のひらこ屋です。国道7号線沿いに位置する店舗前には、平日・週末を問わず開店前から熱心なファンが詰めかけ、その賑わいは留まるところを知りません。
店主・三上玲央氏が率いる厨房では、季節や産地によって脂の乗りや水分量が異なる煮干しの状態を毎日ミリ単位で見極めています。仕込みで使用される煮干しは、平舘産の高級焼き干しをはじめとする数種類。頭や内臓を手作業で丁寧に選別し、えぐみや雑味を排除しながら、魚本来の芳醇な旨味とビターなパンチだけを抽出する技術は、まさに職人芸と呼ぶにふさわしい領域です。
「ひと口すするだけで煮干しの情景が脳裏に浮かぶようなスープを作りたい」——かつてメディアの取材にそう語った店主の哲学は、丼の底に至るまで徹底されています。単なる濃厚さやインパクトに頼るのではなく、出汁の輪郭が舌の上で立体的に広がる計算し尽くされたバランスこそが、遠方から訪れる客の足を止めさせない最大の理由です。