なぜ元力士の体型変化や些細な動向は、これほどまでに過剰な病気説へと結びついてしまうのか。そこには大相撲特有の身体文化と世間の心理的バイアスが存在します。
大相撲の力士は、一般人離れした巨体そのものがアイデンティティとして記憶されます。そのため、引退後に適切な減量を行って一般人並みの健康的な体格に近づくだけで、大衆の脳内では「かつての巨体が半分に縮んでしまった=命に関わる病気ではないか」という短絡的なネガティブ認知が発生します。
現代の相撲界では、親方衆の寿命延伸と健康維持を目的に、引退後の計画的ダイエットが強く推奨されています。激やせと騒がれた東関親方の体型変化は、むしろ「無謀な肥満維持から脱却し、50代以降を健康に生き抜くための自己規律」の証左と捉えるべきです。根拠のない病気説を鵜呑みにせず、名力士が歩む第二の人生の節制を正しく評価するリテラシーが求められています。