日原鍾乳洞の根底にあるのは、太古の石灰岩層が雨水や地下水によって侵食されて生まれたカルスト地形の驚異である。鍾乳石が1センチメートル伸びるのに要する歳月はおよそ100年。頭上から垂れ下がる無数のつらら石や、床面からタケノコのように伸びる石筍(せきじゅん)は、地球が気の遠くなる時間をかけて紡いできた生きた記録そのものだ。
近年注目を集めるジオツーリズムの観点からも、この洞窟が持つ学術的価値は極めて高い。地層の割れ目に沿って複雑に入り組む立体迷路のような構造を観察すれば、かつてこの地が海底にあった時代からの地殻変動のダイナミズムを肌感覚で理解できる。