シオンの死は、それまで「人間と魔物の共生」を無邪気に信じていたリムルの精神構造を根底から覆しました。遺体を前にして深い後悔と怒りに苛まれるリムルに対し、ひと筋の希望をもたらしたのが、駆けつけた冒険者エレンが語った「おとぎ話」でした。
その昔、ペットの竜を人間に殺された少女(後の魔王ミリム・ナーヴァ)が、怒りに任せて一国の人間を滅ぼし、「真なる魔王」へと覚醒した際に死んだ竜が息を吹き返したという伝承です。
大賢者の試算によると、魂が霧散するのを防ぐ結界を張り、1万人以上の人間の魂を生贄として捧げて魔王へと進化すれば、死者を蘇生できる確率は「3.14%」。わずかな可能性に賭けたリムルは、迷うことなく行動を起こします。
テンペスト領内に侵攻してきたファルムス王国軍2万人に対し、リムルは新魔法「神之怒(メギド)」を発動。太陽光線を収束させた無数の不可視の光弾により、わずか数分で大軍を殲滅し、魔王進化に必要な魂を確保しました。
開始された「魔王誕生祭(ハーベストフェスティバル)」。大賢者は究極能力(アルティメットスキル)「智叡之王(ラファエル)」へと超絶進化を遂げます。ラファエルは驚異的な演算能力をもって、成功率の低かった「反魂の秘術」を完璧に補正。結界内に留まっていた魂の欠損を修復し、シオンをはじめとする犠牲者全員の肉体へ魂を完全定着させる奇跡を成し遂げました。