死刑執行に至る事務作業は、徹底した秘密主義のベールに包まれている。検察庁から出される執行上申を受けて、法務省内部の刑事局審査官が記録を徹底的に読み込む。違法捜査の有無、再審請求の理由、死刑確定者の心理状態。数重のチェックをクリアした案件のみが「大臣決裁」へと回される。
関係者の証言によれば、大臣が書類に向き合うのは通常、他の公務が完全に途切れた時間帯だ。自らの手で印鑑を押すか、署名するか。その一文が持つ物理的な重みは、経験した政治家しか理解できないとされる。署名が完了すれば、数日以内に特定の拘置所で刑が執行される。