繁殖の現場では、長年にわたり「卵の容器にもエアレーション(ブクブク)を入れるべきか否か」という議論が交わされてきました。大手アクアリウム管理会社やベテラン愛好家の実証実験から、エアレーションに関する誤解が解明されつつあります。
SNSや飼育フォーラムでは「エアレーションを設置したら、水流で卵同士が擦れ合って潰れてしまった」「気泡の直撃で卵が水面へ打ち上げられて干からびた」という失敗談が散見されます。一方で、「止水にしておいたら底の方の卵だけがカビた」という声も根強く存在します。
東京アクアガーデンをはじめとするプロアクアリストたちの見解によれば、「メダカの卵が必要とする酸素量はごく微量であり、水面から自然に溶け込む溶存酸素だけで十分まかなえる」というのが生理学的な事実です。つまり、酸素補給そのものを目的として強い気泡を当てる必要は一切ありません。
では、なぜ現場のブリーダーが微弱なエアレーションを推奨することがあるのか。その真の目的は、「水塊の完全な停滞(淀み)をなくし、カビの胞子が卵の表面に沈着・定着するのを防ぐこと」にあります。容器の隅や底面に水流がまったくない状態が続くと、水温の成層化が起き、菌糸の増殖スピードが局所的に跳ね上がります。もしエアレーションを導入する場合は、エアー調節バルブを絞り、1秒間に1〜2滴の細かい気泡が静かに立ち上る程度の「超微弱設定」にするのが鉄則です。水面を激しく揺らすような水流は百害あって一利なしと心得るべきです。