戸谷公人の経歴を語る上で欠かせないのが、実の父親である声優の故・戸谷公次(とたに こうじ)の存在です。父・公次は『機動戦士ガンダム』のギレン・ザビ役をはじめ、『聖闘士星矢』のカプリコーンのシュラ役、『北斗の拳』のジャギ役など、数々の伝説的アニメ作品で重厚な悪役や名脇役を演じた昭和・平成を代表する名声優でした。
しかし、父・公次は2006年2月に57歳の若さで急逝。当時15歳だった戸谷公人は、偉大な父の背中を突然失うという深い喪失感を経験しました。芸能界入りした戸谷が、俳優業だけでなく声優業にも強いこだわりを持ち続けていたのは、父への強いリスペクトがあったからに他なりません。
2020年2月、15年間所属したアミューズを退所し、父が生涯所属していた青二プロダクションへ移籍した背景には、「父と同じ事務所で、本格的に声優としての道を極めたい」という強い覚悟と原点回帰の想いがありました。移籍当初は父のファンからも温かい声援が送られ、声優界のサラブレッドとして大きな期待を背負っての再出発でした。