大手町や虎ノ門といった保守的なビジネス街にも、地殻変動は及んでいる。堅い職種でさえ、リモートワークと出社がシームレスに混ざり合うなかで、身だしなみのルールが音を立てて緩み始めた。
ここで重宝されているのが、耳周りや襟足の内側だけに金色を忍ばせるインナーメッシュや、髪を下ろしていれば黒髪にしか見えないシークレットメッシュだ。髪を結んだ瞬間、あるいは耳にかけた瞬間にだけ、細いゴールドのラインが閃く。
「月曜の朝は髪をきっちりまとめて普通の黒髪。金曜の夜や休日はバサッと崩して金を見せる」。そう語る大手コンサルティングファーム勤務の男性(34)の表情は晴れやかだ。組織に過剰に適応しすぎず、かといって不必要に衝突もしない。大人の知恵が詰まった小さな反逆がそこにある。