日本の食卓における永遠のテーマともいえる粉論争。小麦粉が肉汁を閉じ込めてしっとりとしたソフトな衣を形成するのに対し、片栗粉は油の熱によってデンプンが膨潤し、硬質で軽やかなガラス状の膜をつくる。この微細な構造の違いが、噛んだ瞬間のあの心地よい「ザクッ」「カリッ」という音の正体だ。
揚げ物において衣は単なるコーティングではない。肉の水分蒸発をコントロールし、熱伝導を最適化するシールドである。水分を抱え込みやすい小麦粉ベースの衣はどうしても経時変化で湿気を吸いやすいが、片栗粉を主体に据えた竜田揚げ系統のアプローチは、吸湿耐性に優れた圧倒的なサクサク感を生み出す。