結論から明確に言えば、映画『火垂るの墓』の本編および野坂昭如氏による原作小説の中に、カルピスが登場する描写は一度もありません。
作中で幼い節子が喉を潤す場面として描かれるのは、井戸から汲んだ生水や、わずかな砂糖水、そして物語を象徴する赤い缶に入ったドロップを溶かした水です。それにもかかわらず、「節子が美味しそうにカルピスを飲んでいた」「白い液体を大事そうにすする場面があったはずだ」と証言する視聴者が後を絶ちません。
この現象は、事実とは異なる記憶を多くの人が共有してしまう一種の「マンデラ効果」に近い現象として、アニメファンの間でも長く語り継がれてきました。名作が持つ圧倒的なリアリティと人々の無意識の連想が、存在しないはずのカルピスという具体的な商品名を作り出したと言えます。