浜松餃子という言葉が全国区になる遥か前から、この地でフライパンを振り続けてきた「むつぎく」。店主の菊地健介氏をはじめとする職人たちが守り抜く製法は、驚くほどストイックだ。薄皮に包まれる餡の主役は、地元契約農家から仕入れるキャベツ。豚肉との比率は一般的な餃子の常識を覆す「野菜8対肉2」という圧倒的なベジタブルシフトを貫いている。
強火の特注フライパンで一気に蒸し焼きにされた餃子は、底面が黄金色のクリスピーな衣をまとい、噛んだ瞬間に甘みを含んだ熱々の肉汁が溢れ出す。浜松餃子学会が提唱する「3年以上浜松市内に在住した者が市内で製造する」という定義を軽々と超え、大衆中華料理の極致として昇華された一皿。円形に美しく並べられた20個以上の餃子は、まさに職人技の結晶である。