物語の象徴的な舞台となっているのが、中欧に広がる広大なシュヴァルツヴァルト(黒い森)だ。昼間でも光が届かないほどの濃密な針葉樹林が作り出す独特の静寂は、登場人物たちの精神を緩やかに追い詰めていく。今作は単なる事件解決モノではなく、登場人物の内面をえぐるサイコロジカル・サスペンスとして極めて高いクオリティを誇る。
現地でのロケーション撮影は天候との戦いでもあったという。連日の深い霧や極寒の気候が、画面全体に重厚で美しい退廃美を与えている。広大なドイツの森をバックに展開される心理戦は、視聴者の不安と好奇心を同時に刺激し、まるで自分自身が迷い込んだかのような錯覚を起こさせるだろう。