宇和島鯛めしの起源は、中世の瀬戸内海を支配した伊予水軍の武勇伝にまで遡る。船上で火を使うことが禁じられていた武士たちが、酒盛りをしながら獲れたての真鯛を切り身にし、醤油を張った碗に生卵と薬味を混ぜ合わせてそのまま飯に載せてかき込んだのが始まりと伝わっている。
現在では農林水産省が選定する「郷土料理百選」にも堂々と名を連ね、炊き込みスタイルが主流の松山地方の鯛めしと好対照をなす愛媛の二大巨頭として君臨している。漁師のサバイバル飯から洗練された割烹の看板料理へと昇華した背景には、黒潮の恵みと柑橘文化が育んだ独自の美意識がある。