本作を取り巻く言説の中には、事実と異なる情報が真実のように語られているケースが散見されます。読者が誤った情報に惑わされないよう、代表的な誤解を是正します。
第一の誤解は、前述した「スペシャルでの司馬生存説」です。「最終回で刺された司馬が、病院に運ばれて生き返るストーリーがスペシャルである」という言説は完全な記憶違いです。スペシャル版の冒頭や作中に登場する石川の姿を見れば、彼が生存している時期の物語であることは明白であり、本編の死が覆されたわけではありません。
第二の誤解は、「三谷幸喜はこの結末を最初から構想していた」というものです。実際には、三谷幸喜自身は司馬と石川の関係性をより人間味のある軽妙なドラマとして描く意図を持っていました。しかし、共同テレビの若松節朗監督ら演出陣が徹底してハードボイルドかつ冷徹なサスペンスへと昇華させ、織田裕二のストイックな役作りと衝突・融合した結果、あの伝説的なトーンが完成しました。三谷自身も後年の対談で「自分の意図とは異なる方向に進んだが、結果としてとてつもない大傑作になった」と述懐しています。