甘露寺蜜璃を語る上で欠かせないのが、蛇柱・伊黒小芭内との特別な絆です。ファンコミュニティにおいて「おばみつ」の愛称で絶大な支持を集めるこの二人の関係性は、甘露寺役の花澤香菜と、伊黒役の実力派声優・鈴村健一の濃密な掛け合いによって、アニメ本編でも格別の説得力を獲得しました。
作中で伊黒から贈られた緑色の縞々靴下を宝物のように大切にし、文通を通じて心を寄せ合う二人。アフレコ現場での裏話として、花澤は「伊黒さんと会話するときだけは、他の柱に見せる無邪気さとは少し違う、特別な温もりと照れを意識した」と振り返っています。鈴村健一が演じる伊黒の、他者に対する冷徹な拒絶と、蜜璃にだけ向ける底なしの優しさ。その不器用な情愛を、花澤は全身で受け止め、跳ね返すような呼吸で演じました。
二人の関係がこれほどまでに支持される理由は、単なる恋愛模様にとどまらず、互いの「消したい過去」と「異形のコンプレックス」を無言のうちに救い合っている点にあります。過酷な血統に苦しめられてきた伊黒と、並外れた筋力と食欲ゆえに婚期を逃し自分を否定し続けた蜜璃。花澤の声が持つ包容力は、伊黒のみならず、現代を生きる多くの視聴者の自己否定感をも包み込んで昇華させています。