日本のアニメ史において、動物キャラクターの概念を根本から塗り替えた存在といえばスタジオジブリだ。とりわけ宮崎駿監督の手掛けた不朽の名作『魔女の宅急便』に登場する黒猫のジジは、最小限の線とシルエットで豊かな感情を表現した金字塔である。漆黒のボディに鮮烈な白い瞳という、極限まで削ぎ落とされたフォルム。そこにはアニメーターの圧倒的な観察眼が息づいている。
言葉を交わす相棒でありながら、猫特有の気まぐれな本性を決してみ失わない絶妙な距離感。ここには、従来の子供向け作品とは明確に一線を画す革新的なキャラクターデザインの哲学が溢れている。記号化されたシンプルさの中に宿る生々しい生命感こそが、長年にわたり世界中の人々の心を揺さぶり続ける原動力を形成している。