歯茎にできる膨らみや変色の原因は一つではない。痛みがない場合、多くの人は「軽症」と錯覚してしまうが、口腔内においては「痛まない病変ほど病状が進行している」という逆転の現象が頻繁に起こる。
歯茎のできものとして代表的な病態には以下のパターンが存在する。
- フィステル(瘻管/サイナストラクト):歯根の先端に膿が溜まり、歯槽骨を突き破って歯茎の表面に作った膿の排出穴。先端が白くぷくっと膨らむ。
- 歯周膿瘍:重度の歯周病によって歯周ポケットの奥深くに細菌が繁殖し、急性炎症を起こして形成された膿の袋。
- アフタ性口内炎:粘膜の表面に生じる炎症。中央が白〜黄白色で周囲が赤く縁取られ、強い接触痛を伴う。
- 骨隆起(外骨症):噛みしめや歯ぎしりの強い力に反応し、顎の骨が過剰に発達してできた硬いしこり。
- 粘液嚢胞:小唾液腺の損傷により唾液が粘膜下に溜まった青白い半透明の水ぶくれ。
- 歯肉がん:歯茎の上皮から発生する悪性腫瘍。初期は口内炎や肉芽に酷似し、治癒しない潰瘍やしこりを形成する。
特に危険なのは、過去に虫歯治療で神経を抜いた歯や、強い打撲を受けた歯の根元にできる白っぽい突起である。神経が存在しないため強い痛みを感じず、体調によって大きくなったり小さくなったりを繰り返す特徴を持つ。