日本固有の格闘技であり、歴史ある神事でもある大相撲において、金星は最大のドラマだ。最高位に君臨する横綱照ノ富士のような絶対的王者が、土俵際で平幕力士に追いつめられ、土をつく。その瞬間、枡席を埋め尽くした観客の興奮は頂点に達する。興奮のあまり手元にある座布団を土俵に向かって投げる行為は、ファンが一体となって歓喜を表現する独特の光景だ。
観客が座布団を投げる根本的な理由は、言葉では表現しきれない「衝撃と感動」の共有にある。応援する力士が下剋上を果たしたとき、あるいは誰もが予想しなかった大番狂わせが起きたとき、手を叩くだけでは収まらない感情が座布団を飛ばす。一種のカタルシスであり、観客自身が熱狂的な演出の参加者となる瞬間なのだ。