現在のたつこ像は、昭和43年(1968年)4月12日に除幕式が執り行われました。この傑作を生み出したのは、戦後日本を代表するクリスチャン具象彫刻家の舟越保武(ふなこし やすたけ)氏です。
当時、観光開発の一環として像の制作を依頼された舟越氏は、単なる観光記念碑ではなく、湖の神秘性と信仰を受け止める崇高な芸術作品を目指しました。像の高さは約2.3メートル、台座を含めると約4メートルにおよびます。
長年ファンの間で語り草となっているのが「像のモデルは実在したのか」という点です。舟越保武氏の制作記録や関係者の証言によると、特定の単一モデルを忠実に再現したわけではありません。しかし、舟越氏の実娘たち(長女で後に編集者・作家となった末盛千枝子氏ら)の凛とした立ち姿や骨格、さらには日本女性が持つ普遍的な清純美を極限まで純化・統合して造形されたことが知られています。
完成した像の表情は、微笑みを浮かべているようにも、自らの宿命を受け入れた哀愁を帯びているようにも見えます。この多面的な表情こそが、半世紀以上を経た現在も観る者の心を掴んで離さない理由です。