手芸店や量販店の売り場に並ぶ糸巻きを見て、多くの人が最初に直面するのが「番手」のカウント方法に対する疑問です。結論から述べると、ミシン糸の番手は数字が大きくなるほど糸が細くなります。一般的な感覚では「数字が大きい=太い」と直感しがちですが、ミシン糸の世界では正反対の法則が働いています。
この表記ルールは、糸の太さを「一定の重さに対して、どれだけの長さがあるか」で定義する「恒重式(こうじゅうしき)番手」に基づいています。たとえば、綿番手やスパン糸の基準では、重さ1ポンド(約453.6g)あたりの長さが840ヤード(約768m)あるものを「1番手」と定めています。同じ重さの原料を引き伸ばして2倍、3倍の長さに紡績すれば、糸自体はどんどん細くなり、番手の数値は大きくなります。つまり、「90番」は「30番」よりも細長く紡がれた糸を意味するのです。
家庭用ソーイングにおいて絶対的な標準として流通しているのが、国内最大手メーカーであるフジックス普通地用糸の代表格「シャッペスパン60番」です。主原料には強靭なポリエステル短繊維を撚り合わせたポリエステルスパン糸が採用されており、毛羽が少なく均一な強度が担保されています。まずは「標準は60番、薄地なら90番、厚地なら30番」という基準軸を頭に叩き込むことが、適正な資材選びの第一歩となります。