日本におけるカレーのルーツを辿ると、明治維新期の開国と文明開化に行き着く。イギリス海軍経由で伝わったインド由来の煮込み料理は、日本の米食文化と見事に融合した。ここで意外なキーパーソンとして名が挙がるのが、札幌農学校の教頭を務めたウィリアム・S・クラーク博士だ。
「少年よ、大志を抱け」の言葉で知られるクラーク博士は、当時の学生たちの体力向上を図るため、ライスの摂取量を調整しつつ栄養価の高いカレーを推奨したとされる。さらに、北海道開拓の現場でジャガイモ、タマネギ、ニンジンといった根菜類が豊富に作られたことが、今日私たちが親しむ「ごろっと野菜の日本式カレー」のベースを作った。異国の味が日本人の知恵と風土によって独自の変化を遂げた歴史は興味深い。