日本のモビリティ文化を支え続けてきた50ccバイク(原付一種)がなぜ姿を消すことになったのか。その最大の理由は、段階的に強化されてきたバイクの排ガス規制(第4次・第5次規制基準)への技術的対応限界にあります。
排ガスを浄化する三元触媒は、排気熱によって一定の温度に達しなければ本来の性能を発揮できません。排気量が極めて小さい50ccエンジンでは排気ガス自体の熱量が不足し、触媒が効率的に働くまでに時間を要します。また、小排気量エンジンに高度な排ガス浄化装置や電子制御システムを組み込むと、車両本体価格が跳ね上がり、手軽な実用車としての経済性が成り立たなくなってしまいます。
こうした技術的・コスト的課題を受け、ホンダやヤマハ発動機、スズキなどの国内二輪メーカー各社は50ccモデルの生産終了・ラインナップ再編を進めました。日常の移動インフラを維持するため、警察庁および関係省庁が主導して「グローバル標準である125ccエンジンの出力を制限して原付一種として扱う」という制度設計へと舵を切った背景があります。