ホンダ歴代レーサーレプリカの世界において、スペンサーカラーと並び称されるのが「ロスマンズカラー」です。同じくフレディ・スペンサーが駆ったマシンを彩ったグラフィックですが、その成り立ちとデザインフィロソフィーは対極に位置します。
両者の決定的な違いを整理すると、以下の対比が浮かび上がります。
スペンサーカラーの特徴:
発祥は北米AMAスーパーバイク(市販車ベースのプロダクションレース)。シルバーメタリックをベースに、鮮やかなウルトラマリンブルーと濃紺のラインが車体の一体感を引き立てるストリート発祥の精悍なデザインです。
ロスマンズカラーの特徴:
発祥はWGP(世界GP)最高峰クラス。英国のタバコブランド「ロスマンズ」がスポンサーとなったワークスカラーで、ホワイトとディープブルーを基調にゴールドとレッドのピンストライプが走る絢爛豪華なGPレーサースタイルです。スペンサーが1985年に前人未到の250cc/500cc同一年ダブルタイトルを獲得した際のNSR500/NSR250に採用されていました。
武骨な市販車改レーサーの魂を宿すスペンサーカラーか、純粋な世界選手権ワークスマシンの威光を放つロスマンズカラーか――この棲み分けこそが、ホンダファンにとって尽きない談義の種となっています。