「なぜビーナスラインの主要区間は、春が近づいても長期間通行止めが続くのか?」――観光客やツーリング愛好家から頻繁に寄せられる疑問です。ビーナスライン冬季閉鎖の真相には、山岳道路特有の地形リスクと維持管理の限界という現実があります。
ビーナスラインのなかでも、白樺湖から八島湿原までは比較的除雪体制が整っており通年通行が可能な区間も存在しますが、八島湿原〜落合〜美ヶ原高原美術館に至る区間(県道194号・460号)は、例年11月下旬から翌年4月下旬までの約5か月間、完全な冬季閉鎖(全面通行止め)措置が取られます。
閉鎖される最大の理由は、単なる降雪量だけでなく、吹きさらしの稜線による「猛烈な地吹雪と吹きだまり」にあります。標高1,800〜2,000メートルの高地では、風速が20m/sを超える暴風が日常的に吹き荒れ、除雪車が雪を掻いても数時間後には高さ2メートルを超える雪庇(せっぴ)が道路を塞ぎます。さらに路面が完全に根雪・氷板化し、民間の一般車両はおろか大型の四輪駆動救急車両であっても滑落する極限状態に達するためです。
春先(4月中旬頃)になると、自治体や関係各所による懸命な除雪作業が進められますが、ビーナスライン通行止め最新ニュースで「開通延期」が報じられることも珍しくありません。開通直前の4月に南岸低気圧が通過してドカ雪に見舞われたり、昼に解けた雪が夜間に再氷結して鏡のようなアイスバーンを形成したりするためです。「カレンダー上は4月下旬だから大丈夫」と過信せず、開通直後は必ずビーナスライン積雪・凍結情報を自治体公式発表や道路情報カメラの生映像で確認することが鉄則です。