劇場のプログラムを彩る名作群は、何百年を経ても色あせない普遍的な人間ドラマに満ちている。江戸の天才劇作家・近松門左衛門が手がけた『曽根崎心中』は、義理と人情の狭間で追い詰められた男女の純愛を描いた金字塔だ。道行の幻想的な美しさと、クライマックスで人形が見せる悲劇的な美は、観客の涙を誘わずにはいられない。
一方、壮大なスケールで描かれる三大名作の一つ『菅原伝授手習鑑』では、主従の忠義や親子の別れといった重厚なテーマが展開する。我が子を身代わりに差し出す親の苦悩など、極限状態に置かれた人間の心理描写は圧巻のひと言。緻密に練られたストーリー展開は、現代のサスペンスや大作映画にも引けを取らない緊迫感で満ちている。