アンディが脱獄を果たした後、40年の服役を経て仮釈放されたレッドもまた、ブルックスと全く同じ「ブルーワー・ホテル」の部屋に送られ、同じスーパーで袋詰めの職に就きます。夜になると天井の梁を見上げ、そこに刻まれた「brooks was here」の文字を見つめながら、レッドは激しい恐怖と孤独に苛まれました。「銃を買って人を撃ち、刑務所に送り返してもらうか、ブルックスのように首を吊るか」という二者択一の絶望に直面したのです。
しかし、レッドを踏みとどまらせたのは、アンディが生前刑務所の中庭で交わした「メイン州バクストンの干し草場にある樫の木の下を探してほしい」という固い約束でした。レッドはその約束を果たすために旅立ち、石垣の下に隠された手紙と旅費を見つけ出します。
仮釈放の規定を破ってメキシコのジワタネホへ向かう決意を固めたレッドは、旅立つ直前、ブルックスが遺した「brooks was here」の文字の隣に、誇らしげに「So was Red(レッドもここにいた)」と刻み込みました。ブルックスの文字が「命を断つための遺書」であったのに対し、レッドの文字は「絶望の部屋から生きて抜け出し、希望へ向かう宣言」となったのです。この見事な対比こそが、本作が単なる脱獄劇を超えて人間讃歌と呼ばれる最大の理由です。