物語は、飛行機のエンジン故障によりサハラ砂漠に不時着したパイロットの「ぼく」が、不思議な金髪の少年「王子さま」と出会うところから始まります。水も食料も尽きかけ、死の恐怖と孤独のなかにいた「ぼく」に、王子さまは唐突に「ヒツジの絵を描いて」と頼みます。この奇妙な出会いを起点に、砂漠での10日間にわたる対話が繰り広げられます。
王子さまは、家ほどの小さな星「B612」からやって来ました。そこには3つの小さな火山と、放置すれば星を破壊してしまう巨大な「バオバブの木」の芽、そしてある日咲いた1本の美しい「バラ」がありました。王子さまはそのバラを深く愛していましたが、バラの見栄っ張りでわがままな態度に傷つき、小鳥たちの渡りを利用して星を旅立ってしまったのです。
地球に辿り着く前、王子さまは6つの星を巡り、奇妙な大人たちと出会います。
- 第1の星(王様):誰もいない星で、全宇宙を支配していると思い込む権力欲の権化
- 第2の星(うぬぼれ屋):他人からの称賛や拍手しか耳に入らない承認欲求の塊
- 第3の星(呑んだくれ):酒を飲む恥ずかしさを忘れるために酒を飲み続ける自己矛盾の男
- 第4の星(実業家):夜空の星を数えて「所有」することだけに執着し、何の役にも立たない数字を計算する男
- 第5の星(点灯夫):星の自転が速くなっても、古い規則に縛られて休みなく街灯をつけたり消したりする盲目的な労働者
- 第6の星(地理学者):自らは机から一歩も動かず、探検家からの報告を記録するだけで「山や海を見たことがない」学者
7番目の星として降り立った地球の砂漠で、王子さまは「秘密を教えてくれるキツネ」や「元の場所へ帰す力を持つヘビ」、そしてパイロットの「ぼく」と出会います。多くの対話と経験を通じて、王子さまは自分にとってあのバラがいかにかけがえのない存在であったかに気づき、ある重大な決断を下すことになります。