私たちが日常的に「イギリス」と呼んでいる国の正式名称は、「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland、通称UK)です。「イギリス」という呼称自体は、ポルトガル語の「Inglez(イングランド人)」が戦国時代の日本に伝わり、変化して定着した日本独自の俗称に過ぎません。
国際法上、主権国家(Sovereign State)としての資格を持つのは連合王国(UK)ですが、その内部にはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドという4つの地域が存在します。これらは英語でそれぞれ「Country」と呼ばれます。日本語では主権国家もCountryも一律に「国」と訳してしまうため混同されがちですが、イギリスにおけるカントリーとは、独自の歴史、法律体系、教育制度、そしてナショナル・アイデンティティを保持した「歴史的構成国」を意味しています。
連合王国が成立した歴史を辿ると、武力による征服と政治的な統合が段階的に進んだことが分かります。13世紀末にイングランドが隣国ウェールズを軍事的に征服し、1707年には同君連合の関係にあったスコットランド王国とイングランド王国が合邦して「グレートブリテン王国」が誕生しました。さらに1801年にアイルランド全土を併合しましたが、20世紀前半の独立戦争を経て南部がアイルランド共和国として離脱し、北部の6州のみが連合王国に留まる形で、現在のグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国の枠組みが完成しました。