ネット上の情報では「ウスターソースにケチャップを混ぜるとどんな焼きそばも美味しくなる」といった単純化されたレシピが散見されますが、ここには知っておくべき盲点があります。
トマトケチャップはグルタミン酸が豊富で甘みと粘度を足すのに極めて有効ですが、入れすぎるとケチャップ特有の香りと酸味が勝ち、ナポリタンに近い洋風の味わいに偏ってしまいます。焼きそばとしてのアイデンティティを保つためには、ウスターソース大さじ2に対してケチャップは小さじ1程度に抑え、隠し味として機能させることが重要です。
また、「付属の粉末ソースが足りない時の代用として、ウスターソースをそのまま同量使う」という誤解も多く見られます。前述の通り、粉末ソースは水分ゼロで塩分濃度とスパイス濃度が非常に高い調味料です。粉末ソースの代わりにウスターソースだけで味を合わせようとすると、水分過多で失敗します。粉末ソースの代用としてウスターソースを使う場合は、必ず「ウスターソース+醤油+粉末和風だし(または中華だし)」をブレンドし、水分量を抑えつつ塩気と旨味を補填するのが正解です。
さらに、屋台の風味をより強烈に引き出したい場合は、仕上げに「天かす(揚げ玉)」と「魚粉(削り粉)」を投入するのが効果的です。天かすがフライパン内の余分な液体ソースを吸い取りながら麺にコクのある油分を戻し、魚粉に含まれるイノシン酸がソースの旨味と相乗効果を生み出して、専門店さながらの濃厚な後味を生み出します。