ネット上やSNSのコミュニティで頻繁に交わされる議論が、「なみすけの生物学的正体」に関する疑問です。丸みを帯びたフォルム、短い手足、そして背中に並ぶ突起物から「ティラノサウルスやステゴサウルスの幼体ではないか」と推測されるケースが後を絶ちません。しかし、杉並区が公式に定めているプロフィールにおける結論は明快です。なみすけの正体は、恐竜ではなく「妖精」に分類されます。
公式設定によると、なみすけは遥か遠くの海に浮かぶとされる架空の島「スギナミザウルス島」に暮らしていました。ある日、船に乗って冒険の旅に出たところ、偶然にも杉並の地に辿り着き、緑豊かな街並みと人々の温かさを気に入ってそのまま住み着いたという経緯を持ちます。背中に生えているヒレのような突起は、恐竜の骨板ではなく「イチョウやどんぐりなど木々の葉」を想起させる形状をしており、杉並の綺麗な空気を吸うことで元気を維持しているという、環境共生型の世界観が反映されています。
なみすけ誕生の原点は、2007年の「杉並区制75周年」を記念する事業に遡ります。2006年に杉並区が広くキャラクターデザインを公募したところ、全国から総数1,570点もの熱意ある応募が寄せられました。専門家や公募区民による厳正な審査、そして区民投票を経て選定されたのが、グラフィックデザイナーの手による現在のデザインでした。過剰に奇をてらわないミニマルな造形と、パステル調の穏やかなグリーンは、都市住宅地としての杉並の落ち着いた空気感に合致し、満場一致に近い形で区のシンボルとして迎え入れられた歴史があります。