「耳をふさがないリスニング機器」として先行普及していた骨伝導イヤホンと、イヤーカフ型イヤホンは何が異なるのか。店頭や通販サイトで混同されがちな両者ですが、その発音原理と体験価値には「骨伝導イヤホンとの決定的な違い」が存在します。
骨伝導は、アクチュエーターをこめかみ付近の側頭骨に強く密着させ、骨の振動を通じて蝸牛(内耳)へ直接音を届ける仕組みです。対してイヤーカフ型は、超小型のダイナミックドライバーから空気を介して鼓膜へ音を届ける「空気伝導」を採用しています。この発音経路の違いが、音質と装着感に決定的な差をもたらします。
第1の相違点は「低音域の解像度と歪み」です。骨伝導は骨を物理的に震わせる必要があるため、低音のエネルギーを再現しようとすると強い振動が発生し、肌がくすぐったくなったり痒みを感じたりするケースが後を絶ちません。一方のイヤーカフ型は、通常のイヤホンと同様に空気振動を利用するため、振動による不快感が皆無であり、低音から高音まで自然で広がりのある周波数特性を維持できます。
第2の相違点は「頭部への圧迫感と干渉」です。骨伝導の多くは側頭部を両側から挟み込むネックバンド構造を採用しており、長時間の装着で頭痛を誘発したり、メガネのツルや冬場のハイネック、マスクの紐と激しく干渉したりするという構造的弱点がありました。耳輪を個別にクリップする完全ワイヤレス構造のイヤーカフ型は、頭部への側圧がゼロであり、メガネをかけた上からでも何一つ違和感なく装着できる自由度を誇ります。