白いストライプのど真ん中に、精緻な線で描かれているネイビーブルーの円盤。このインド国旗の車輪の意味を探る鍵は、紀元前3世紀にインド亜大陸の大半を統一したアショーカ王(阿育王)の治世にあります。
この紋様は「アショーカ・チャクラ」と呼ばれ、釈迦が初めて説法を行った地として知られるサールナートの「アショーカ王の獅子柱頭」に刻まれた彫刻がアショーカチャクラの由来です。仏教やヒンドゥー教に共通するダルマチャクラ法輪の意味、すなわち「宇宙の秩序、正義、法(ダルマ)」を車輪の回転になぞらえています。車輪が止まれば停滞と腐敗を招き、回転し続けることで生命と社会は進歩するという動的な哲学が込められているのです。
多くの人が疑問を抱く「なぜ24本なのか」という24本スポークの真相については、明確な二重構造の意味が存在します。ひとつは天文学・時間概念としての「1日24時間」です。24時間休むことなく、国家と国民が正義の道を行進し続けるダイナミズムを具現化しています。もうひとつは、古代インド哲学で説かれる「愛、勇気、忍耐、慈悲、正義、謙虚、自己制御」など、人間が身につけるべき24の道徳的徳目です。空と海を象徴する青色(ネイビーブルー)で描かれているのは、無限の宇宙と尽きることのない真理を想起させるためです。