「内心の自由が絶対であるなら、なぜ会社や学校で思想や行動が制約されるのか」という疑問は、実務上極めて頻繁に発生します。その真相は、「憲法の私人間効力(しじんかんこうりょく)」と「内心と外部行為の乖離」という2つの法理にあります。
憲法は基本的に「国(公権力)対 個人」の関係を規律する規範であり、私人同士(民間企業と労働者、私立学校と学生など)の契約関係に直接適用されるわけではありません(間接適用説)。私人間の関係では、私的自治の原則や「契約締結の自由」も同様に尊重されるため、憲法19条の理念は民法90条(公序良俗)や労働基準法3条などを経由して間接的に適用されるに留まります。
さらに、心の中で何を考えているか(内心)は自由であっても、それを言葉や行動として外部に表出させた段階(外部行為)で、他者の人権や組織の規律と衝突し、「公共の福祉」や「企業の円滑な運営」を理由とした合理的制約を受けることになります。