一般的な温泉旅館において、一泊二食付きの平均宿泊相場は平日でも1人あたり15,000円〜25,000円前後が主流です。それに対し、伊東園ホテルズは平日1名あたり税込8,000円〜1万円台前半という驚異的な設定を維持しています。この価格破壊が実現できる背景には、創業以来磨き上げられてきた独自の再生型ビジネスモデルが存在します。
最大の要因は、バブル期以降に経営破綻や後継者不在に陥った大型老舗旅館の建物を丸ごと買い取る「居抜き再生」手法です。新築投資に必要な数十億円規模のイニシャルコストを大幅に抑制し、減価償却費の負担を極小化しています。さらに、館内の配膳係や仲居を配置せず、夕食・朝食を全面バイキング形式に一本化。フロント業務の自動化やセルフチェックイン端末の導入により、人件費率を業界標準の約35〜40%から20%台前半まで圧縮しています。
加えて、グループ全体で年間数百万人規模の送客力を誇るため、食材の一括大量調達(セントラルバイイング)によるバイイングパワーが効いています。カラオケボックス事業を展開してきた親会社のノウハウを活かし、館内のカラオケルーム、卓球場、麻雀ルームをすべて無料で開放。客室単価の安さで圧倒的な稼働率(年平均80%以上)を叩き出し、薄利多売によって利益を確保する強固な収益構造を構築しています。