映画の冒頭、清太の「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」という衝撃的な独白から物語は幕を開けます。このシーンで画面全体を包む不気味な赤い光と、赤く染まった清太の姿について、ファンの間では長年「幽霊・ループ説」として考察されてきました。
この演出の意図について、監督の高畑勲氏は明確な解答を残しています。冒頭に登場する清太は幽霊であり、成仏できないまま自らの死に至るまでの行動を赤い光の中で永遠に反芻し、見つめ続けている存在なのです。節子の霊とともに高層ビルが立ち並ぶ現代の神戸を見下ろすラストシーンは、過去の悲劇が遠い昔の出来事ではなく、現代社会とも地続きであることを痛烈に突きつけています。