パンは何語?英語と思いきやポルトガル語!定着の歴史真相に迫る

パンは何語?英語と思いきやポルトガル語!定着の歴史真相に迫る

パンは何語?英語と思いきやポルトガル語!定着の歴史真相に迫るに関する疑問を分かりやすくまとめました。詳細な解説をご覧ください。

日常会話で当たり前のように使われている「パン」という単語。英語圏のレストランやカフェで「Pan, please」と注文しても、店員は怪訝な顔を浮かべるだけでパンは出てきません。英語圏でパンは「bread(ブレッド)」であり、英語の「pan」は底の浅い調理用具、すなわちフライパンを指すためです。

日本語のパン語源由来を言語学的に辿ると、たどり着く正解はポルトガル語の「pão(パオン/パン)」です。鼻母音を含むポルトガル語特有の響きが、当時の日本人には「パン」と明瞭に聞き取られ、そのまま音写されて定着しました。

さらに歴史の針を古代ヨーロッパへと巻き戻すと、ロマンス諸語の共通の母体であるラテン語パニス語源(panis=パン、糧、食物)に行き当たります。古代ローマ帝国で主食を意味した「panis」は、ヨーロッパ各地の言葉へ枝分かれしていきました。

ラテン語の「panis」から派生した代表的な言語を見ると、フランス語では「pain(パン)」、スペイン語では「pan(パン)」、イタリア語では「pane(パーネ)」と変化しています。スペルや発音の差異はあれど、南欧を中心としたラテン系言語圏では、現在も驚くほど似通った発音が受け継がれています。一方、イギリスやドイツなどゲルマン系言語圏では、古英語の「brēad」や現代ドイツ語の「Brot(ブロート)」のように、全く別の語源(「醸造物」や「破片」を意味する原初ゲルマン語)から言葉が形成されました。

日本に持ち込まれたのは、ゲルマン系のイギリス船ではなく、大航海時代に先陣を切って東洋へ進出してきたポルトガル船でした。この地理的・歴史的巡り合わせこそが、私たちが今も「ブレッド」ではなく「パン」と呼んでいる根本的な理由です。

石川 優花
著者

石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。