海外で「katana」という単語はオックスフォード英語辞典にも採録されるほど定着していますが、通訳案内士や学芸員の現場では安易な同一視を避ける動きが主流です。英語圏における「sword」は、一般的に両刃で真っ直ぐな形状を持ち、敵を鎧の上から叩き潰す・突き刺すための実用武器を連想させます。これに対し、私たちがイメージする日本刀は片刃で美しい反りを持ち、引き切りによって対象を両断する構造を備えています。
語彙の使い分けにおいて、海外の歴史研究者やコレクターは以下のように厳密な区分を行っています。
まず、室町時代中期以降に武士が帯に刃を上にして差した「打刀(うちがたな)」をピンポイントで指す場合、Katanaで通じます。しかし、平安時代から鎌倉時代に騎馬戦で用いられた刃を下にして吊るす「太刀(たち)」や、護身用の「短刀(たんとう)」、「脇差(わきざし)」まで含めた日本固有の刀剣文化全体を指す場合は、Japanese swordやNihontoと呼ぶのが国際的な標準です。
「It is a type of traditional Japanese single-edged curved sword.(これは日本の伝統的な片刃の反りを持った刀剣の一種です)」という定義づけを冒頭に添えるだけで、西洋のブロードソードやレイピアとの構造的違いが相手の頭に瞬時に描かれます。