宝塚歌劇団の花組トップスターとして君臨した時代、真矢みきがもたらした風は、まさに怒涛のイノベーションだった。それまでの男役像といえば、品格と伝統の型に沿った美しさが至上とされていた。しかし、彼女はそこに鋭い感性とストリート感覚を注入したのだ。黒タキシードのボタンを大胆に外し、長髪をなびかせる。一挙一動が型破りでありながら、圧倒的にエレガントだった。
写真家・篠山紀信氏を起用した個人写真集の出版は、当時の劇団内でも大きなセンセーションを巻き起こした。外部のトップクリエイターと組んで自らの美学を提示する試みは、宝塚の100年を超える歴史の中でも異例中の異例。型にハマることを拒み、常に観客の期待を心地よく裏切り続けた姿に、当時のファンは息をのんだ。