インターネットの掲示板やSNSでは、時折「弁天町の巨大ビルは近いうちに解体・建て替えされる」「テナントが撤退して空室だらけになっている」といった極端な噂が飛び交います。なぜこのような言説がまことしやかに囁かれ続けるのでしょうか。その背景には、複合的な要因と過去の記憶の混同が存在します。
第一に、「ORC200の建て替え経緯」に関する誤解です。1992年に竣工したORC200は、総事業費約1,600億円を投じた巨大開発でしたが、バブル崩壊後のオフィス需要低迷により第三セクターが巨額負債を抱えて破綻。2010年代半ばまで空室が目立ち、訴訟や民事再生のニュースが連日報じられました。ネット上に残る当時のネガティブな記事や写真が、リニューアル後の現在も検索上位に残存していることが、「今も空室だらけ」という誤ったパブリックイメージを再生産し続けているのです。
第二に、築年数に伴う「老朽化建て替え説」です。2020年代に入り、大阪市内各所で昭和・平成初期のビル解体が進んだことから、「築30年を超えた弁天町のタワーも解体されるのでは」という憶測が広まりました。しかし、公式発表資料および所有ファンドの保全計画によると、建物の躯体強度は強固であり、解体建て替えの計画は一切存在しません。むしろ耐震補強工事や外装・空調設備の全面刷新に数十億円規模の投資が行われており、今後数十年間にわたる長期運用が前提となっています。
弁天町ビルの空室理由としてかつて挙げられていた「フロア形状の特殊さ」や「賃料設定と立地のアンバランス」は、2018年の「大阪ベイタワー」へのリブランド時に、小規模分割対応やコワーキングスペースの整備、多様なテナント誘致によってほぼ解消されました。現在のオフィスフロア稼働率は9割を超える高水準を維持しており、「空室のゴーストタウン」という認識は明白な事実誤認です。