相模湾や日本海側のイカ釣り船に乗船すると、ベテラン釣り師たちのクーラーボックスには必ずと言っていいほど、特製タレを満たした専用タッパーが積載されています。現場取材で語られた現役船長の言葉は、沖漬けの魅力を端的に物語っています。
「釣れたてのイカを樽から取り出し、そのままタレに入れると、一瞬で『ブシューッ』とタレを吸い込んで体がみるみる琥珀色に変わる。この瞬間の身の締まりと、肝の中にまで醤油の旨味が溶け込んだ状態は、陸に上がってから死んだイカをいくら高級なタレに漬けても絶対に再現できない現場だけの味なんだ」(三浦半島・遊漁船船長の手記より)
一方で、SNSや知恵袋などのコミュニティを調査すると、自家製に挑戦したユーザーからの失敗談や後悔の声も少なくありません。
- 「生きたまま漬けたら、大量のイカ墨を吐き出されてタレが真っ黒になり、生臭くなってしまった」
- 「タレに漬けたまま冷蔵庫に4日間放置したら、塩辛すぎて身がパサパサになって食べられなくなった」
- 「釣ったその日に冷凍せず刺身で食べたら、真夜中に激しい胃痛で救急搬送された」
現場のプロによると、生きたイカを漬ける際は「海水を入れたバケツの中で一度しっかり墨を吐かせてからタレに投入する」こと、そして「タレに漬けっぱなしにせず、24時間以内にタレから引き上げて冷凍保存に移行する」ことが、失敗を防ぐ不可欠なセオリーであると口を揃えます。