この名曲を音楽的に唯一無二の存在に押し上げた最大の要因が、スタジオレコーディングに参加した奇跡のプレイヤー陣です。クレジットを紐解くと、後に世界を震撼させるイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の結成前夜にあたる、日本の音楽界で最も先鋭的な才能が集結していたことが分かります。
当時、若手スタジオミュージシャンとして頭角を現していた坂本龍一は、矢沢の徹底したプロ意識とコードに対する鋭敏な感覚に強い感銘を受けたと言われています。坂本が持ち込んだアープ・オデッセイ(シンセサイザー)のポルタメントを活かしたオブリガートや、エレピのエレガントな和音構成は、泥臭いロックンロールとは一線を画す「大人のアーバン・メロウ」を見事に具現化しました。
さらに、高橋幸宏の無駄を極限まで削ぎ落としたスクエアで洗練されたドラミングと、後藤次利のダイナミックにドライブするベースラインが組み合わさることで、世界水準のリズムセクションが完成しました。職人たちが火花を散らしたスタジオの緊張感こそが、半世紀を経ても風化しない音像を生み出した根源です。