本楽曲を初めて耳にした多くのリスナーは、「にんじゃりばんばん」という呪文のようなオノマトペに耳を奪われます。しかし、音楽関係者の間ではにんじゃりばんばん 歌詞の意味について、きわめて情緒的で文学的な実験が行われていたと高く評価されています。
楽曲を手掛けた音楽プロデューサーの中田ヤスタカは、日本人のDNAに深く刻まれた「ヨナ抜き音階(ファとシを抜いた五音音階)」をエレクトロハウスの重厚なビートに衝突させました。歌詞の冒頭で歌われる「いつもどおりの毎日」を鮮やかに塗り替える衝動は、忍者(しのび)が自らの姿を煙とともに消し去り、新しい空間へと跳躍する儀式そのものを想起させます。
歌詞を精読すると、「空を飛び交うカラフルな煙」「煙に巻く」といったモチーフが頻出します。これは世間の常識や退屈なルーティンに対するアイロニーであり、自分の本当のアイデンティティや胸に秘めた切ない想いを「忍ぶ(隠す)」現代人の心情を代弁していると読み解けます。表面的なカワイイカルチャーの仮面を被りながら、内面には疾走するエモーションを隠し持つ二面性こそ、国内外を問わずリスナーの無意識を惹きつける最大の要因です。