バイカルアザラシの最大のチャームポイントといえば、まるで樽や巨大な豆粒を思わせる「まん丸なフォルム」です。この丸すぎる体型には、シベリアの過酷な冬を乗り越えるための必然的な理由が存在します。
体型を形作っているのは、体表を覆う厚さ10〜14cmにも及ぶ強靭な皮下脂肪です。体重の約半分近くを脂肪が占めており、これがマイナス40度にも達する外気や氷点下の水温から体温を逃さない強力な断熱材として機能しています。表面積を最小限に抑えて熱放散を防ぐ球体に近い形状こそが、極限環境における究極の生命維持フォルムなのです。
また、顔の半分近くを占めるかのような「大きな丸い目」も際立った特徴です。水深1,600メートルを超えるバイカル湖において、彼らは水深200〜400メートル以上の深海域まで潜水して獲物を探します。太陽光がほとんど届かない漆黒の深水層でわずかな光を効率よく取り込むため、網膜の受容体が発達し、瞳が大きく進化しました。
さらに驚くべきはその寿命の長さです。一般的な海洋性アザラシの寿命が25〜35年程度であるのに対し、バイカルアザラシの寿命は最長で50〜56年に達することが確認されており、鰭脚類(ききゃくるい)の中でも突出して長寿な種として知られています。